普段どうダウン症を考えているかわかる文章

昨年後半期から、日本でもダウン症の親子の話が流布するようになりました。御存じの人も多いことでしょうが、中東のシリヤという国で、ダウン症家族が立派に教育をしたという逸話です。ホームページが存在します。タイトルは、『ダウン症の父親に目一杯の愛情で育てられ、医師の道に進んだ息子「父親を誇りに思っています」』 。この情報をクリニックの外来で母親に提示しましたところ、ある現象に気づきました。初めてこのタイトルを読んだ母親は、「えーと、ダウン症の息子さんが、父親の愛情をふんだんにもらって、医学生になれたの?」と3人に1人がつぶやきました。こちらは、「もう一度、日本語を正確に読んでみてください」とヒントを出すと、しばらくして、「あれっ、ダウン症の人が父親になり、健常な息子さんを育てて医学生にしたのだって?」と驚きの感想を口にしました。この現象は、洗脳されている人の思考パターンを典型的に教えてくれました。ダウン症の男性が子供を産めるんですか?という質問も高頻度で出ました。「ええ、もう35年位前に医学論文で、ダウン症の男性が父親だと遺伝子診断で確認されたんですよ」とこちらは答えました。ダウン症男児が立派な父親になれるはずがないという大前提で、文章を読むと、脳内で勝手に言葉の順序を変えて読んでしまっていることを思わせます。世間にダウン症への偏見と差別が存在し、それに理性的に立ち向かっても、まったく理解できない人達(医者、教師、役人、園長等々)が居ることを、今後も親御さんたちは、覚悟をしておかないとなりません。洗脳された人には、論理的に正しい意味が、通じないことがわかります。(文責:飯沼院長)